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「薫風」と「風薫る」を知っていますか?
両方とも、季節をあらわす言葉で和歌・俳句・手紙・禅語としても使われます。
禅語は茶道でも時候の挨拶としてよく使われます。
両方とも日本人なら知っておきたい美しい言葉です。
「薫風」と「風薫る」の意味と使い方
「薫風」は「くんぷう」と読み、「風薫る」・「風の香」・「南薫」とともに俳句では夏の季語として使われます。
意味は「夏の南風で、青葉や水上を渡ってくる匂うように爽やかな風」で、語感としては「青嵐」よりは弱くやわらかい風です。
和歌で「風薫る」と使われるようになったのは新古今以降です。俳句での用法とは違って季節とはかかわりなく、桜や梅の匂いをおこす春風、花橘の香りを送る夏の風、まれに雪の香にも使われます。
「風薫る」は「薫風」を訓読みしたものです。
「薫風の候」は手紙文の時候の挨拶などで使われます。同じような用法で「風薫る五月」という表現もあります。
使える時期は初夏で5月初旬から下旬まで、5月いっぱいは大丈夫です。
「風かをるをちの山路の梅の花色に見するは谷の下水 定家」
「風薫る軒のたちばな年ふりてしのぶの露の袖にかけつる 良経」
「薫風や蚕は吐く糸にまみれつゝ 水巴」
「風かをる朱欒咲く戸を訪ふは誰ぞ 久女」
辞職先生ニ与フ
「薫風や本を売りたる銭のかさ 百閒」
「薫風を入れて酢をうつ飯まろし まり子」
「わが日々の薫風となり吾子逝けり みね」
「薫風の候」「風薫る五月」など季節ごとの簡単な時候の挨拶を紹介します
「薫風の候」など季節の挨拶をしっかり覚えておけば、手紙を書くときに恥ずかしくありません。
季節ごとの挨拶を少しご紹介します。
春の挨拶でも、桜が咲き始めるころと散り始めたときの挨拶は違います。 桜が咲き始めたころは 「花冷えの季節」 桜が散り始めたときは 「桜の花も散り始めたころ」とすればいい感じですね。 分かりにくい時は 「春たけなわ」や「季節の変わり目ですが」を使うといいかもしれません。
夏の挨拶は、6月の梅雨時期と8月ではまた違ってきます。 6月には 「雨が続きますが」「梅雨寒の日が続きます」などがいいでしょう。 7月には 「猛暑が続いています」「盛夏の折」などが使えます。 8月は、もうすぐ夏も終わり。 「まだまだ暑い日が続きます」「朝晩は涼しさを感じることもあります」などを使うとスマートです。
秋の挨拶 「実りの秋を迎え」「秋の気配が次第に濃くなってきました」などはどうでしょうか?
冬の挨拶はどうでしょう。 12月には「年の瀬が押し迫ってきました」などがいいでしょうか? 冬を通して「寒さ厳しき折」「めっきり寒くなりました」などを使うといいでしょう。
「薫風」の禅語での意味、茶道で使われる季節の禅語について紹介します
習い事の一つとして、日本古来のものとして茶道を選ぶ人も増えています。
茶道では「禅語」というものがよく使われます。
薫風は9世紀の唐の詩人、柳公権の「薫風自南来 殿閣生微涼」(薫風南より来り、 殿閣微涼を生ず)が典拠といわれていますが、その詩は禅語として重用されてもいます。
「禅語」って何!?という方も多いですよね。
禅語とは禅宗の文献に記された言葉のことです。
その言葉を理解しようとすることで、日常の生活で何かに気づかされたり、人生を豊かに過ごすために、禅語をヒントに仕事や会社経営に取り入れる人も増えているそうです。
宋末の大慧禅師(1163年没)は「薫風自南来 殿閣生微涼」を聞いて大悟したといわれています。
大慧禅師は何を感得したのでしょう。
”私たちは得失・利害・愛憎・善悪等にこだわって毎日生活しています。しかしそれらの対立観念を一陣の「薫風」によって吹き払ってしまえば、自由自在な清々しい涼味を感じることができます。そのカラッとした垢の抜け切った無心の境涯が「殿閣微涼を生ず」なのだと悟ったといわれています。”
禅語は使う人の趣向によって違いますが、季節の禅語をしっておけば、間違うことなく使うことができます。
分かりやすい季節の禅語をいくつかご紹介しましょう!
※実は春はいつからというのはいろいろな区切り方がありますが、ここでは伝統的な二十四節気をもとに略記し、立春(2月4日)以降を春とします。
春(2月~4月)の禅語には 「花」という字を含むものが多いです。
「柳緑花紅(やなぎはみどりはなはくれない)」
柳は緑、花は紅というように、 ありのままが一番美しい、という意味です。
夏(5月~7月)の禅語には 「水」や「雲」が含まれるものが多いです。
「青山元不動 白雲自去来(せいざんもとふどう はくうんおのずからきょらい)」
夏には青々とした動かない山が、はっきりと見える。 しかしすぐそばに、動く雲が見える。 このことから分かるように、人の心も常に動いています。 正直な心で、いろいろなことに惑わされないようにしましょう、という意味です。
秋(8月~10月)の禅語には 「月」や「落葉」という漢字がよく使われます。
「清風 明月(せいふう めいげつ)」
明るい月と清らかな風は、いろんな執着がない澄み切った心、ということです。
冬(11月~1月)の禅語には 「雪」という漢字がよく使われます。
「銀椀裏盛雪(ぎんわんりにゆきをもる)」
銀のお椀に雪を盛っても、見た目は見分けがつきにくい。 しかし、お椀と雪は全く違うもの。 見分けがつきにくくても、同じものと判断せず、 物の本質を見極めることが大切、という意味です。
季節ごとの禅語を4つご紹介しました。
ちょっと難しいかも知れません。
でも何回も読むと、奥が深い!と感じますね。
茶席で使われるお菓子についてはこちらで紹介しています。
まとめ
今回の内容は、ちょっとかたくるしかったかも・・
でも、知っておくと、しっかりしている素敵な人として、一目置かれますよ。
禅語など一度に全部は覚えるのは難しいですが、少しずつ勉強してみませんか!
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