たまたまセミがベランダの柱につかまって羽化しているのを見つけた。
既にもう身体が半分ほど出ていて、最初はなんだこれはという感じで良く分からなかったが、よく見たらセミだった。
セミの羽化をリアルタイムで実際に見るのははじめてで少し感動する。
写真がぶれていて見ずらいところもあるが、記録として残しておきます。
これを機にセミの生態を調べてみたが、書かれていることもまちまちで
まだよく分かっていないらしい。
これだけポピュラーな昆虫でも、この状態なのだから生物の研究というのは難しいと感じる。とくにセミは幼虫がほとんどの期間を土の中で過ごし、成虫の飼育も難しいのでなおさら調べるのが難しいらしい。
簡単にセミの一生を記述すると、
Wikipediaよりの引用
交尾が終わったメスは枯れ木に産卵管をさし込んで産卵する。枯れ木の上を移動しながら次々と産卵するため、セミが産卵した枯れ木は表面が線状にささくれ立つ。
ニイニイゼミなど早めに出現するセミの卵はその年の秋に孵化するが、多くのセミは翌年の梅雨の頃に孵化する。孵化した幼虫は半透明の白色で、薄い皮をかぶっている。枯れ木の表面まで出た後に最初の脱皮をおこなった幼虫は土の中にもぐりこみ、長い地下生活に入る。
幼虫は太く鎌状に発達した前脚で木の根に沿って穴を掘り、長い口吻を木の根にさしこみ、道管より樹液を吸って成長する。長い地下生活のうちに数回(アブラゼミは4回)の脱皮をおこなう。
若い幼虫は全身が白く、目も退化しているが、終齢幼虫になると体が褐色になり、大きな白い複眼ができる。羽化を控えた幼虫は皮下に成虫の体が出来て複眼が成虫と同じ色になる。この頃には地表近くまで竪穴を掘って地上の様子を窺うようになる。晴れた日の夕方、目の黒い終齢幼虫は羽化をおこなうべく地上に出てきて周囲の樹などに登ってゆく。羽化のときは無防備で、この時にスズメバチやアリなどに襲われる個体もいるため、周囲が明るいうちは羽化を始めない。このため、室内でセミの羽化を観察する場合は電気を消して暗くする必要がある。夕方地上に現れて日没後に羽化を始めるのは、夜の間に羽を伸ばし、敵の現れる朝までには飛翔できる状態にするためである。木の幹や葉の上に爪を立てたあと、背が割れて白い成虫が顔を出す。成虫はまず上体が殻から出て、足を全部抜き出し多くは腹で逆さ吊り状態にまでなる。その後、足が固まると体を起こして腹部を抜き出し、足でぶら下がって翅を伸ばす。翌朝には外骨格が固まり体色がついた成虫となる。
??
上記がWikipediaの記述で、他の情報源も羽化は日没後と書かれています。
今回実見したセミはアブラゼミ?ですが、
羽化は日中なので、日没後という記述自体が間違っています。
自分の無知を付記すると、セミの抜け殻は良く見かけていて、
特に脱皮と羽化の区別は付けていなかったが、最後の脱皮を羽が生えるので羽化と呼ぶことが分かりました。
セミは「さなぎ」にならないので、「不完全変態」であるというのも、今回調べている過程で知った新知識でした。
セミの羽化のリアル経過写真(実時刻も)
写真1(13:58)
写真2(14:03)
写真3(14:35)
写真4(15:45)
羽は小さくつぼまって、抜け殻にくっついている。
写真5(17:13)
羽は広がりきったが、まだ透明。抜け殻から脇に移っている。
19時ごろ覗いてみたが、セミはもういなかった。
近くの床も探してみたが落ちてはいなかったので、飛んで行ったらしい。
空蝉はこんな感じです。
セミの寿命は?
Wikipediaでは
成虫期間は1-2週間ほどと言われていたが、これは成虫の飼育が困難ですぐ死んでしまうことからきた俗説で、野外では1ヶ月ほどとも言われている[2]。
さらに、幼虫として地下生活する期間は3-17年(アブラゼミは6年)に達し、短命どころか昆虫類でも上位に入る寿命の長さをもつ。
成虫での生存期間も1-2か月あるといわれています。
夏のセミはせいぜい1ヶ月ですが、季節外れのセミは2カ月ほども生きるという説明もあります。夏のセミは熱さで体力を消耗するため寿命が短いんだそうです。
また幼虫の地中での生息期間ですが、飼育技術が進歩した最近の研究によると
種類によって違いますが、
ミンミンゼミ 2~4年
ツクツクボウシ1~2年(主に2年)
アブラゼミ 2~4年
クマゼミ 2~5年
ニイニイゼミ 4~5年(主に4年)
だそうです。
大型のセミほど期間が長いですが、これはやはり成長に時間がかるためです。
Wikipediaも盲信してはだめですね。
つまりセミは寿命が短いと思われていますが、
昆虫の中では例外といっても良いほどの長生きなのです。
ちなみにアメリカには13年と17年セミという超長生きな種類もあります。
ただ、こちらも成虫期間は短く、ほとんどの期間を地中で過ごして、
子孫を残すために地上に出てきて目的を果たすと死んでゆくわけです。
13と17は素数です。これをもとに素数ゼミという切り口で数学的にその理由を説明した本もありますが、異論もあるようです。
まとめ
たかがセミ、されどセミですが、その真実の解明はなかなか難しいようです。
夏の風物詩として蝉しぐれを鑑賞するのが無難かもしれません。
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